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Nimを触り始めました:Tauriライクな Nimino と Zedライクな Nimculus

【2026年7月版】

Nimを触り始めました:Tauriライクな Nimino と Zedライクな Nimculus

公開日: 2026/07/18
読了時間: 約 5分

Nim は C や Pascal の系譜を引くシステムプログラミング言語の強みに、Python のような高水準言語の書き心地の良さを融合させた面白い言語です。Rust が安全性を追求する一方で、Nim は「必要な時にだけ降りられる」という柔軟性を持っています。通常の開発では高水準なコードで事足りますが、低レベルな操作やC ABIとの連携が必要になった場合でも、ポインタや手動メモリ管理へスムーズに移行できます。これはWin32やGTK、WebKitGTKといったOS/GUI APIを直接扱う際に、特に強みとして現れます。

この柔軟性のおかげで、Nim からネイティブコードへのコンパイルが容易になり、配布サイズを抑えつつ高いパフォーマンスを実現できます。また、マクロやテンプレート機能を活用すれば、低レベルFFIの上に安全なAPIを重ねることも可能です。Python風の構文は初期学習コストが低く、実験やプロトタイピングの初速を上げてくれます。

そんな Nim で最近始めたプロジェクトが2つあります。1つは「Nimino」という軽量なクロスプラットフォームの WebView デスクトップアプリ基盤です。Electron が Chromium を丸ごと同梱するのに対し、Nimino は OS 側の WebView(Windows では WebView2、Linux では WebKitGTK)を活用します。この設計思想は Tauri から影響を受けており、初期ターゲットは Windows・ネイティブLinux・WSL で、macOS は将来的な拡張点として考えています。想定用途は、社内ツールや管理画面、ローカルAIツール、開発者向けユーティリティなどです。

もう1つは「Nimculus」という GPU ネイティブなコードエディタです。Zed を参考にしつつ、Nim と NimNUI で構築しています。初期の対象プラットフォームは Apple Silicon 搭載の macOS で、Metal 描画や Cocoa 連携、tree-sitter を用いたパーサー、そして Piece Table 方式のエディタコアなどを実装中です。こちらもまだ初期段階です。

この2つは一見異なる方向を向いていますが、共通の検証目的を持っています。それは「Nim でどこまで実用的な GUI/デスクトップ基盤を作れるか」という点です。OS API や WebView、GPU 描画、パッケージング、開発体験まで含めて、Nim の強みと弱点を確かめたいと考えています。

Nimino は WebView 基盤として OS 側の機能を活用し、Nimculus は GPU ネイティブなエディタとして描画の性能を追い込みます。ただし、どちらも Tauri や Zed の単純な移植やクローンではありません。それぞれの設計思想を Nim の言語特性に合わせて再解釈することを目的にしています。

たとえば Nimino では、WebView2 や WebKitGTK といった OS 側の技術を活用しつつ、Nim でホスト側のロジックを記述することで、クロスプラットフォームなアプリ開発を進めています。一方 Nimculus では、Metal 描画や Piece Table 方式のエディタコアを Nim で実装し、GPU の力を引き出すことで、高速で応答性の高いエディタ体験を目指しています。

方向は別ですが、得られた知見は互いに活かしていきたいと考えています。Nimino で得る OS 統合やパッケージング、ライフサイクル管理の知見は Nimculus にも活かせますし、逆に Nimculus で得る入力処理や描画、エディタコア設計の知見は、Nim の GUI エコシステム全体の理解につながるはずです。

さらにNim では、より C や C++ のライブラリを直接リンクするため、Rust との性能比較が楽しみです。

これらのプロジェクトの詳細や、Nim の設計思想を掘り下げた解説は「Nim Architecture Guide」という特設サイトにまとめています。それぞれのリポジトリも公開していますので、興味があればぜひ覗いてみてください。